JR0ECQの徒然日記

趣味のアマチュア無線などについて徒然なるままに

コメットHRシリーズをWARCバンドで使用する ~ モビホにワイヤーを足したら?

先週、コメットのモビホ、HRシリーズの4本を同時に購入し、ALL ASIAN DX コンテストを満喫しました。さすがにモノバンドのセンターローディングタイプのアンテナは良く飛びよく聞こえました。そして、いままで使ってきたマルチバンドアンテナは、もう使わないでもいいかな、と思いましたが、24MHzだけはモノバンドのアンテナを持っていませんでした。

そこで、実験の虫がうずうずしてきました。

昨年、3.5MH用のHR3.5に5mのワイヤーを付け足して1.9MHzに出られるようになりましたが、同じように、28MHz用のHR28にワイヤーを付け足して、24MHzに出られないかどうか試してみることにしました。うまく行けば、費用をほとんどかけずに24MHzでも効率のよいセンターローディングアンテナを使用できます。

ついでに、14MHz用のHR14、21MHz用のHR21にもワイヤーを付け足して、残りのWARCバンドの10MHz、18MHzにも出られないかどうか試してみることにしました。

 

1 ワイヤーを付け足さないで実験

はじめに、ワイヤーを付け足さず、そのままで使えないか確かめました。

 

(1)HR21(21MHz用)

FT-991AのSWR計で18MHzでのSWRは約3でしたが、何と、内蔵チューナーでチューニングできてしまいました。昨晩は、ちょうど強いEスポがでていて、18MHzのバンド内が賑やかだったので、呼んでみたら一発でコールバックがありました。その後、調子に乗って、たくさん交信しました。

HR21は、ワイヤーを付け足さなくても、このまま18MHzでも使用できることが分かりました。1本で21MHzと18MHzで使用でき、2倍おいしいアンテナでした。

チューナーでマッチングさえ取れてしまえば無線機の出力リミッターが作動することもありません。また、マッチングを取る前のアンテナのSWRの高低やワイヤーの有無でアンテナの効率はほとんど変わりません。このため、18MHzについては、実験する前にワイヤーを付け足す意味はなくなってしまいました。うれしいような残念なような・・・。

 

(2)HR28(28MHz用)

じゃあHR28もいけるんじゃない?ということで、やってみました。HR21のときと同じように、24MHzでのSWRは約3でした。HR28も内蔵チューナーでチューニングできてしまいました。こちらもEスポによる入感局があったので呼んでみたら一発でコールバックあり。HR28もワイヤーいらないじゃん!

HR28もこのまま24MHzでも使用できました

 

(3)HR14(14MHz用)

まさか、でもHR14はだめでしょう?と思いながら、やってみました。こちらは残念ながら予想どおり、FT-991AのSWR計で10MHzでのSWRは∞(無限大)で、10MHzではチューニングもできませんでした

なお、以下のSWR曲線に示すようにNanoVNAでは10MHzのSWRは約2.5でした。この違いはなぜ?

 

2 ワイヤーを付け足して実験

HR21、HR28は、ワイヤーを付け足さなくてもそれぞれ18MHz、24MHzで使用できることが分かったため、わざわざワイヤーを付ける必要がなくなってしまいましたが、せっかくの機会なので、ワイヤーを付けて実験してみました。

 

(1)HR21(21MHz用)

1.9MHz用のアンテナのときと同じように、モビホの先端に噛ませるクリップにワイヤーを付けました。

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ワイヤーの長さは適当に60cmにして、先端10cmを丸めたので、実質長は約50cmになりました。

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そのワイヤーをベランダに設置したモビホの先端に付けました。モビホの角度はほぼ水平で、少しだけ上向きにしました。

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NanoVNAで測定したところ、以下のようなSWR曲線が得られました。運よく18MHz付近のSWRが最低になり、チューナーなしでも18MHzで使用できるようになりました。

ちょうど今日はKCJのオンエアミーティングがあったので、さっそくこのアンテナを試してみました。実際の交信でも、快適に使用することができました。

 

ワイヤーを付ける前のHR21(21MHz用)のSWR曲線

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約50cmのワイヤーを付けたHR21(21MHz用)のSWR曲線

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18MHz付近のSWR曲線

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(2)HR28(28MHz用)

HR21に使ったのと同じ約50cmのワイヤーをHR28に付けて、SWR曲線を測定しました。

偶然にも24MHz付近のSWRが最低になり、チューナーなしでも24MHzで使用できるようになりました。

こちらもKCJのオンエアミーティングで試してみました。快適に使用することができました。

 

ワイヤーを付ける前のHR28(28MHz用)のSWR曲線

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約50cmのワイヤーを付けたHR28(28MHz用)のSWR曲線

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24MHz付近のSWR曲線

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(3)HR14(14MHz用)

10MHzは、14MHzから離れているため、HR21やHR28よりも長いワイヤーが必要と考え、当初、約120cmのワイヤーを準備しました。しかし、同調点が約11MHzとなって、まだ短いことが分かりました。そこで、ワイヤーを足しました。

つぎにワイヤー長を約160cmにしたとき、10MHz付近のSWR値が最低になり、チューナーなしでも10MHzで使用できるようになりました。

こちらは、JAG QSOパーティで試してみました。快適に使用することができました。

 

ワイヤーを付ける前のHR14(14MHz用)のSWR曲線

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約160cmのワイヤーを付けたHR14(14MHz用)のSWR曲線

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10MHz付近のSWR曲線

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3 まとめ

今回の実験では、コメットのHRシリーズ(HR14、HR21、HR28)をWARCバンドで使用できるかどうか確かめました。

その結果、18MHzと24MHzは、それぞれHR21とHR28のそのままの状態でFT-991Aのアンテナチューナーで同調でき、FT-991Aとの組み合わせではワイヤーが不要であることが分かりました。さらに、それぞれ約50cmのワイヤーを付け足すことで、チューナーなしでも使用することができました。

残りの10MHzについては、HR14に約160cmのワイヤーを付け足すことで、チューナーなしでも使用することができました。

これで、1.9MHzから28MHzの9バンドを、5本のモビホ(HR3.5、HR7、HR14、HR21、HR28)とワイヤーの組み合わせで、FT-991A内蔵のチューナーなしでカバーできるようになりました。

お手持ちのモビホでお手軽に、かつ費用を掛けないでWARCバンドにQRVされたい皆様は、ぜひお試しください。

なお、風の強い日はワイヤーが揺れてしまって信号が安定しませんので、このワイヤーを付け足したアンテナは、風の弱い日限定になります。風の強い日も使用したい場合は、専用バンドのものを使用した方が良いと思います。

また、ベースローディングのモビホは、上手くいかない可能性が高いです。

今回は、コメットのモビホで実験しましたが、ダイヤモンドアンテナのモビホでも同様にWARCバンドで使用できると思います。もし、ダイヤモンドアンテナのモビホで試してみた方がいらっしゃいましたら、その結果をお知らせいただけましたら幸いです。

これで、センターローディングのアンテナを持っていない残りのバンドは、50MHzだけになりました。50MHzのアンテナは使用頻度が低いので、そのうち欲しいと思ったときに手に入れたいと思います。それとも、セール期間中に買っちゃおうか?

コメットのHRシリーズに関する3回シリーズの記事は、これでおしまいです。最後までお付き合いくださいまして、本当にありがとうございました。